大学生の恒夫（妻夫木聡）は、深夜に麻雀屋でアルバイトをしている。 ちょうど常連客に代打ちを頼まれた時、最近近所で見かける謎の老婆の話になった。 何ともその話は、老婆が乳母車を押しているというもので、中は見えないようにしているというのだ。
恒夫は無責任にも、その中には赤ん坊のミイラがいて、もうその赤ん坊はとうの昔に死んでいるのを、気がフレた老婆が押しているんだと怪談のような話にしてしまう。
それは、決まって明け方に乳母車を押して歩く老婆が見れるという事で、その中の一人がなんとか観てみようと躍起になっていると言い出すのだった。恒夫は日が昇ってくると、店の店長の飼い犬を散歩に連れて行く。 その日、ちょうど坂の下に差し掛かった時、坂の上から乳母車が走ってくるのに遭遇する。 恒夫が近寄り、中を覗くと、そこには少女（池脇千鶴）が入っていた。 そしてその少女は、包丁を握り締めているのだった。
坂の上から老婆（新屋英子）が、「そいつじゃない」と叫んでやってきた。恒夫は危うく刺されそうになるが、間一髪で難を逃れる。
乳母車の中身は、老婆の孫だった。 彼女は原因不明の病で生まれてから一度も歩いたことがないという。 老婆は近所に孫の存在を隠して暮らしており、夜明け間もない時間に乳母車に乗せて散歩させていた。
そのまま恒夫はふたりの家に連れて行かれ、朝食をごちそうになる。 気持ち悪い老婆と、まったく歩くことのできない少女、出された朝ごはんに手を付けるのはちょっと気が引けていたが、これが何とも美味しいのだ。 ジョゼと名乗る少女が作るのだが、彼女は料理がとてもうまいのだった。
こうして、恒夫と脚の不自由な少女は出会った。 恒夫は、不思議な存在感を持つジョゼに興味を持つ一方で、大学の同級生の香苗（上野樹里）)にも好意を持っている。
またそれだけでなく、セフレのノリコ（江口のりこ）もいる、ある意味典型的な遊びまくっている大学生だった。
乳母車の秘密を知った恒夫だったが、雀荘の常連客達には真実を言わなかった。 そしてしばし朝になると図々しくもジョゼのところに飯を食いに行く恒夫、しかしジョゼはある日顔に傷を負っていた。 それは襲われたという事だったが、持っていた包丁で刺したので、相手の怪我の方が深かったと言っていた。
誰が襲ったのか、大体見当がついている恒夫だったが、彼は頻繁にジョゼの家に出入りするようになっていき、障害者という事で、香苗にも話し、福祉関係の就職を希望している香苗との会話のネタにさえするのだった…
犬動監督作品も、けっこう近年見ていますね。「眉山」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/10709161.html 「グーグーだって猫である」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/11414841.html 「のぼうの城」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/7575977.html 「MIRACLE デビクロくんの恋と魔法」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/12419707.html と近作を中心に見ていますが、硬軟どちらでも作る監督ですね。
今作はどちらかと言うと骨太の作品、障害を持った少女役に池脇千鶴、ジョゼと名乗りますが、実際は久美子というんですね。 彼女は今まで祖母に一切隠されて生活をさせられてきました。
それは歩けないということ自体、祖母は忌み嫌っている、孫を卑下した存在と思い込んでいるんですね。 だんだん仲良くなっていく恒夫に対しても、近寄らせないようと邪魔をします。
ただ、恒夫自身もジョゼに対して興味はありますが、だからと言って恋愛対象としては見ていないし、あくまでも本命は香苗なんですね。 意外としたたかな女子大生を上野樹里が演じています。
しかしこの後、ジョゼの祖母が亡くなり、恒夫の心境が激変していきます。なかかな切ない人間模様なんですが、悲劇で終わると思ったジョゼの生涯が、そうでもないところが意外でしたね。
バイト中の恒夫はある話を聞いた
