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ハーモニー


WHO(世界保健機関)螺旋監察事務局の上級監察官として活動していた霧慧トァン(沢城みゆき)は、ニジュールの戦場で“生府”が禁止する飲酒・喫煙を行っていた。 生府とは、2019年、アメリカ合衆国で発生した暴動をきっかけに全世界で戦争と未知のウィルスが蔓延した「大災禍(ザ・メイルストロム)」後に作られた統治機関。
そこに、無人偵察機が現れた。 写真を撮られてはまずいと思ったトァンは、仕方なく撃墜し、キャンプ地に戻ってきたが、そこで待っていたのは、オスカー・シュタウフェンベルク首席監察官(榊原良子)だった。
酒を見つかったトァンは、強制的な謹慎を兼ねて、日本に送り返されてしまう。
日本は彼女の故郷だったが、彼女は日本に行くことは毛嫌いしていたのだった。
それは一つには、『大災禍』の後、反動により極端なまでに健康と調和を求める超高度医療社会に移り変わっているからだった。 誰も模範的な、画一化された国、それは気持ちが悪いほどだった。
彼女を零下堂キアン (洲崎綾)が、迎えに来てくれた。 彼女は学生時代の友人だった。
実は二人のほかにもう一人友達がいて、3人はいつも一緒だった。 御冷ミァハ(上田麗奈)といって、明晰な頭脳と医療社会への反抗心を持つ少女だった。 そして3人の中でいつも先を行く存在であり、社会をいかにして破壊するかを模索していた思想さえ持っていた。
そして彼女はその考えをさらに進め、「社会への反抗」としてトァンとキアンと共に自殺を試み、結果彼女一人だけが死亡してしまったのだった。 そう、トァンが日本に来たくないもう一つの訳はこれなのだった。
彼女は家に帰らずホテルに行くと言うので、キアンは食事にトァンを誘う。そして二人は自然とミァハの話になっていく。 その時、いきなりキアンが、持っていた食事用のナイフで、自分の喉を刺し自殺してしまう。
しかしこれだけではなかった、同じ時に世界中で一斉に自殺が起こったのだった…

実は、この作品は伊藤計劃の作品3本をアニメ映画化する“Project Itoh”の第3弾だったのですが、2作目の「虐殺器官」が諸事情で一時お蔵入りになりそうになったんです。 そして繰り上げてこの第3弾の方が先に公開になりました。 ただ、製作体制が整い次第、来年公開になったようで、それはホッとしていますが。
公開順に前作の「屍者の帝国http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/13517860.html とはうって変わった近未来の世界、この世界になる前に大きな災厄があったんですね。 面白いのは、核戦争ではなく、バイオハザードみたいなので、権力を持ったのがWHOというところですね。 また軍事力はそこに集約されています。
特に日本は、というか裕福な国はと言った方がいいのかもしれませんが、高度に医療というか、あることが進んでいます。 それはWatchMe(生府に普及している恒常的体内監視システム、またはその役割を担うナノマシンの通称)という、システムが体に埋め込まれ、徹底的に健康管理、いや思想まで統制されているんですね。
平和の名のもとに、人間を完全に管理しようというのは、歴史上いつもあることですが、“健康”の名のもとに管理するという設定が大変面白いですね。
しかし、人間の自由、多少不潔で汚くても、人間らしい生き方もまた一方ではあるんですがね。
なかなか人間の深いところに迫った面白い作品でした。

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酒とたばこの密売をしているトァン

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売人の砂漠の民

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しかしオスカー主席に見つかり

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日本に行かされ、待っていた友のキアン

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しかし目の前で…

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