anttiorbの映画、映像の世界

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海洋天堂

2010年作品、シュエ・シャオルー監督、ジェット・リー主演。

ボートから海に飛び込む二人、足にはロープをつないでいる。 しかし。
中国、チンタオ。 妻に先立たれたワン・シンチョン(ジェット・リー)は、自閉症の息子ターフー(ウェン・ジャン)を男手ひとつで育てていた。しかし彼は心中を試みたのだった。 2人で海に飛び込むが、ターフーは足かせをほどいて水面へ上がって行ってしまった。
2人は結局家に帰って来てしまった。 向かいの家に暮らす女性チャイ(ジュー・ユアンユアン)はそんな事情を知らず、帰宅した2人を温かく迎える。 本当はチャイさんに置手紙を残して行ったのだが、それは今となっては見られてはならない遺書だった。
シンチョンは水族館で働いている。 電気関係の技師だった。 ターフーは魚のように水中は自由自在だった。 だから彼は毎日ターフーをここに連れてきていた。 水族館館長(ドン・ヨン)は真面目なシンチョンが、旅行のため休暇を取るとは思っていなかった。 本当の理由を聞くが、シンチョンはそれを言うことはできなかった。
彼の仕事の合間に、自分の死後息子を預かってくれる施設を探す。 8歳の時から9年間お世話になった施設をもう一回訪ねるが、義務教育は、障害児であっても9年間という決まりになっていると言われる。 ターフーはもう21歳になっていた。
そこで、シンチョンは自身が末期の肝臓癌で余命わずかと新委員長に告白するのだった。 母を早くに亡くし、自分が死んだらターフーが一人になっ てしまうと言うと、院長は施設を紹介してもらえるか、上司に相談をしてくれると言ってくれる。
しかし同時にシンチョンはターフーに1人で生きていくために必要なことを、ひとつひとつ教えていくことも始めていた。
そんな時、ターフーは、水族館に巡業で来ていたサーカス団の女ピエロ・リンリン(グイ・ルンメイ)と知り合うのだった…

今作は、ジェット・リーが脚本を読んで、ノーギャラで良いから出演したいと言った、彼が全くアクションをしない文芸作品です。 彼にとっては初の試みですが、演技としてもまったく素晴らしいの一言でした。 アクションをしばらく封印しても良いのでは?
でも、どうして彼がこの作品に出たいと言ったのか、何かわかる気がしますね。 2010年ころから、甲状腺異常が発覚し、やりたくてもあまりアクションがやれないと言われていますし、一時は余命が…とまで噂されていました。
そんな時の出演作品、当時はこれが自分とダブった感じで演技をしていたんでしょうか?
物語は、発達障害で、自閉症になり、早くに母を亡くした息子をたった一人で育てる父親役に彼が挑戦します。 冒頭の入水自殺シーンは、結末を先にやる手法なのか?と思いましたが、ちゃんと時系列に沿った画き方なんですね。
水族館で電気技師として働くシンチョン、息子を一人にできないので、必ずターフーを連れていくんですが、彼の泳ぎが上達しているんですね。 だから心中に失敗してしまう皮肉があるんですね。
シンチョンを支える雑貨店の女性・チャイ、彼女の立場もいじらしく、わからないなりに必死にこの親子の面倒を見ようとします。 そしてサーカス団のピエロの女性にグイ・ルンメイが出演しています。 彼女は先日観た「薄氷の殺人」http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/13201044.html では、なかなかの好演をしていました。 すきっとした美人女優ですね。 ぜひ邦画でも起用してほしい。
これも泣ける作品で、父としてできうることをすべてやっておこうとするシンチョンの姿は、わが身に当てはめてしまいますね。 親として見習うべき作品でもありました。

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海に入ろうとする二人

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水族館で働くシンチョン

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自分がいなくなったときのことを考え

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むかしお世話になった施設の院長に相談する

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サーカス団のピエルの女性と仲良くなるターフー

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