anttiorbの映画、映像の世界

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麦子さんと

2013年作品、吉田恵輔監督、堀北真希主演。

声優を目指してアニメショップで働くフリーター・小岩麦子(堀北真希)。
彼女は着いた駅で清算をしているとまじまじと顔を覗きこまれる。 「どこかで会った顔だ」と言われるが、彼女は全く覚えがない。
そしてタクシーに乗り込むと、運転手の井本まなぶ(温水洋一)も、驚いた顔で彼女を見つめ、自転車に乗っていた警官とぶつかってしまう。 彼もどこかで見た顔だというのだった。
彼女は、写真を1枚出し、この方ですねと言うが、それは彼女が抱えているお骨になった母・赤池彩子(余貴美子)の若いころの姿の瓜二つだったからだった。 井本は彩子が亡くなったことにちょっと落ち込んだ様子だった。
少し前の事だった。 3年前に父を亡くして以来パチンコ店で働く兄・憲男(松田龍平)と二人暮らしの小岩麦子(堀北真希)のところに、突如、母の彩子が戻ってきた。 憲男は麦子を父替わりで育てていると、彼女に恩着せがましく言っていた。 彼女も感謝をしているというのだが、いきなり現れた母に憲男は何か普通以上に冷たいのだった。
しかし母は麦子の職場にも来て、一度話をさせてほしいといい、一緒に住んだ方が経済的にもいいし、今までしていた仕送りも難しいと言い始めた。 実は彩子は、毎月15万も振り込んでいたのだった。 憲男はそれを麦子に黙っていた。
結局3人で一緒に住むことになったのだが、ほどなく憲男は、付き合っていた彼女と同棲を始めてしまう。 そして、母との二人の生活が始まるのだが、ほとんど初めての二人暮らしに、なかなか戸惑う麦子だった…

これは劇場に行かなくてよかった…とつくづく思いました。 つまらないのではなく、嫌いなのでもなく、涙が止まらなくて声を上げちゃいそうだからです。
時間の関係で、途中切って鑑賞したんですが、一気に見ると落ち込みそうでもありましたね。
良い作品でした。 良作なんですが、あまりにも主人公や、母・彩子に感情移入してしまうからなんですね。
物語は、いきなり現れて実母のところから始まります。 母に捨てられた兄・憲男と、妹・麦子のところに、幼いころに家を出て行った彩子が突然現れるんですね。 そして一緒に暮らそうと言い出す。 もう私はその後の展開が読めました。
そしてその時の彩子の感情もわかりました。そこからもう涙が止まらなかった。
ちょっと自分の話をさらっとすると、うちの母もこういう人物だったんですよね。 自分のことは言わない、でも子供や孫の事は気にかけている、そういう人間でした。 それが母親の意地なのか、プライドなのか、私は最後までわからなかった。 そして人生の最後も同じような感じでした。
私はすでに両親ともいませんが、結局両方とも死に目には会えなかった。
麦子や憲男の気持ちは痛いほどわかります。 言い訳は聞きたくないが、理由を、真実を、その時の気持ちを知りたい。 でも知ったところで時間は取り戻せない、親への思慕と憎しみが入り混じった、自分ではどうしようもない感情、痛いほど伝わってくる作品でしたね。
この作品の救いは、母の生い立ちを麦子が、触れることができたところですね。 そしてそこで自分と同じことをしている青年を見れたこと。 そこでようやく自分の気持ちに向き合えたところでした。
親が子供に弱みを見せたくない、みっともない姿を見せたくない気持ちはあるんですが、子供はそれを全部隠されてしまうとどうしようもないんですね。 亡くなってからじゃあ何も返せないんですがね。
ちょっと私にとっても多少心の救いを感じた作品でした。

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パチンコ店で働く憲男

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アニメショップで働く麦子

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そこに転がり込んでくる母・彩子

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母を避ける二人だが、憲男はいなくなり、彩子は亡くなってしまう

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そして彩子の遺骨を持って母の故郷に

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