2012年作品、アニエスカ・ホランド監督、ロベルト・ヴィエツキーヴィッチ主演。
1943年のポーランド。 下水修理と空き巣稼業で妻子を養っている貧しい労働者のソハ(ロベルト・ヴィエツキーヴィッチ)は、収容所行きを逃れるために、地下水道に繋がる穴を掘っているユダヤ人たちを発見する。
ドイツ軍に売り渡して報奨金を手にするチャンスだったが、迷路のような地下水道の構造を誰よりも知り尽くしたソハは、彼らを地下に匿い、見返りに金銭を得ることを思い立つ。 ところが、子供を含むユダヤ人のグループは彼の手に負えるような規模ではなかった。
地上では、ドイツ軍の好き放題の行動が目立ち始め、ユダヤ人ほどではないにしてもポーランド人に対する仕打ちのいやらしさも日に日に激しくなる。 さらに、ナチに寄るユダヤ人狩りはさらに激しくなり、もう彼らは地上では殺されるだけとなり、ユダヤ人は面倒を見きれないほどその人数は多く、隠れ場所の移動や食料の調達さえ容易ではない。 ソハの妻子や若い相棒は処刑の恐怖に怯えるようになる。
彼はその悲惨な窮状を目の当たりにしてきたので、自分でも信じ難い、彼らを“守る”という茨の道を選択するのだった……。
もともと下水処理業者の彼は、小悪党なんですね。 空家となったユダヤ人の家に入り、こっそりと金目のものを持ち出し金に変えていく、半分泥棒家業の彼。
そして彼は奥さん・ヴァンダと一人娘がいるんですね。 生きていくためには、こういう小悪だけでなく、さらには親ナチのポーロンド軍人にも、顔を利かせています。
彼の大きな武器は困ったら地下に逃げ込むこと、地下水道脈は、彼の庭なんですね。
もちろんこれが本業なので当たり前ですが、地下がどこで繋がっているか、もう感覚的に地下世界の地図が頭に入っている、それはその気になったら、そこで人を迷わすことさえできるんですね。
そんな彼がユダヤ人の集団を地下に匿う事に力を貸していくんですね。
妻の猛反対もあり、いったんは手を引くんですが、ここから彼の人間としての今まで潜んでいた信念みたいなものが芽生え始めます。
これは実話という事で、ソハはこの後非業の死を遂げるんですね。でも彼の家族はユダヤから大きな尊敬を受けることもあったそうです。