歯科医の原田(志村嵩)は家庭裁判所参与員になった。 家族のもめごとが持ち込まれるところで、なかなか嫌な仕事だが、原田は文句を言いながら結構やる気があるようだった。
裁判所に行くと、廊下で数人の男女が言い合いをしていた。 どうやら親子間のもめごとみたいだった。
訴えているのは息子たちと妻のとよ(三好栄子)で、訴えられているのは都内に鋳物工場を経営し、かなりの財産を持つ中島喜一(三船敏郎)だった。
始めから両者は相いれない感じで、まずはお互いの言い分を聞くことから始めた。
そして、その後に次の日取りを決め、家族は帰っていった。
工場は、喜一の厳しい目で創業されており、仕事は順調だった。 しかしそんな現状をものともせず、喜一は裁判所の決定を待たずに、どんどん話を進め始めてしまうのだった。
そしてある日、工場兼自宅にある男を連れてきた。 それはブラジルに移住して成功した老人(東野英治郎)で、彼を連れて来て、家族の前で現地のフィルムを見せて唖然とさせる。
危機を感じた息子たちは、裁判所の日取りを繰り上げ、審議を早めることにするのだった。
医師の原田はそんな喜一の姿に、なにか打たれるものがあり、だんだんと、喜一の考えを真剣に取り上げようとするのだったが…
この作品は、ラジオ番組で、伊集院光が取り上げていたので、一度見たいと思っていました。
凄い作品ですね。 1955年とはそんな時代だったんですね。
10年前に第2次大戦が終わり、日本に痛ましい犠牲者が出た原爆が2発落されました。 しかしそんな核の恐怖を感じ怯え、しり込みするのでなく、人間はさらなる恐怖の核兵器をどんどん作りはじめたそんな時代なんですね。 もちろん核は未だに無くなることはなく、保有国はどんどん増え続けています。
黒澤監督は、そんな暗い時代を予知していたかの如くの作品ですね。
勿論皆がその恐ろしさを大なり小なり解っていますが、彼は鋭敏で、実行力があるんですね。 それが皮肉な結果にどんどんなっていきます。
ラストのある病院の医師の言葉が、監督が一番言いたかったセリフなんでしょうね。 衝撃作品で、後味はめちゃくちゃ悪いですが、日本人こそ、今また観るべき作品ではないでしょうか?
歯科医の原田
父とその他の家族の紛争
彼の思いは家族を連れてブラジルに行くこと
話し合いは平行線に
最後は土下座までして懇願するが
ついに事件が起こってしまう