「彼女の想いで…」
ある日のこと、彼らは宇宙の墓場と呼ばれるサルガッソー宙域から『マダム・バタフライ』のオペラと共にSOS信号をキャッチ。 早速救助へ向かうが、そこには巨大な薔薇の形をした宇宙船が浮遊していた。 潜入したハインツとミゲルは、中で立派なお屋敷やオペラ劇場を発見する。 調べを進めていくうち、それが21世紀初頭の天才的ソプラノ歌手エヴァ (高島雅羅)の遺品の数々であることが分かった。 しかし、やがて二人はそこに巣くうエヴァの情念によって幻想世界に惑わされることになる・・・
「最臭兵器」
甲府にある西橋製薬に勤める田中信男(堀秀行)は、その日、風邪で体調を崩していた。 彼は、同僚に勧められた新薬サンプルを服用したが、実はそれは政府の極秘の依頼で開発中の、服用した人間から発生されるガスによって周囲の人間を一瞬にして意識不明にしてしまうという細菌戦用兵器だったのである。
会社の応接室で仮眠をとって、翌朝目覚めた田中は、同僚たちがバタバタと倒れる様子を見て驚かされる。 慌てて東京の本社に連絡を取ると、極秘資料とサンプルを、なるべく人と接しないようにして東京へ運んで来いとのことだった。 急いで会社を出る田中は、彼が行くところ行くところに人はおろか鳥や獣までもが仮死状態で倒れていることに戦慄を覚える・・・
「大砲の街」
その少年(林勇)が住んでいるのは、無数の大砲で重装備した移動都市だった。 現在、敵国との戦争の真っ最中で、テレビからは 「撃てや撃て力の限り街のため」 などという標語が流れている。 少年は学校で砲撃の勉強に勤しみ、父(キートン山田)は17番砲台の装填手として働き、母(山本圭子)は砲弾製造工場にパートに出ている。 今日もいつもと変わらぬ戦火の一日が始まり、やがて暮れていく・・・
大友監督監修の3話からなるアニメーションオムニバス作品です。自らの監督作品は3話目で、これが一番シュールですね。
物語としては宇宙が舞台の「彼女の想い出…」がなかなかの世界観で、「2001年宇宙の旅」みたいですね。
死してなお生き続ける想い出が、やがて執念となり怪物化していくという話は、地球で描くとホラー作品になりますね。
そして2作目の「最臭兵器」は究極の兵器でした(^^)毒ガスなんでしょう、一応。 でもそれを発する人間が気が付かない所が最高ですね。