2012年作品、ビレ・アウグスト監督、ジェレミー・アイアンズ主演。
ライムント・グレゴリウス(ジェレミー・アイアンズ)は一人暮らし。 チェスをたった一人でやっている。 席を交互に座り直しながら、二役で指している。
もう夜が更けてきた。 そのまま眠りにつき、続きは明日指すつもりらしい。
彼は高校の古典の教師、その日は雨で風が強く吹いていた。 橋に通りかかった時、橋げたに上る一人の女性がいた。 自殺だ! そう思った彼は、必死に傘を飛ばして彼女を抱きかかえた。 鞄から今日の授業の資料が飛び出し散乱した。 女性は赤いコートを着ていたが、大人しくなり、一緒に資料を拾ってくれ、「一緒にいても良いですか?」 と尋ねた。 このままにしておくわけにはいかない。 そう思ったライムントは、教室まで連れて行く、教室の横に座らせ、見学させた。
若い女性を連れてきたのを奇異に見る学生たち。 びしょ濡れのふたりは奇妙だったからという事と、独身のライムントだったので、彼女だと思われたのだった。
資料を配り授業を始めると、しばらくして彼女は教室を出て行ってしまった。 そして窓から見ると彼女は学校を出て行ってしまう。 生徒たちにそのまま続けろと言いの残し、彼は置いて行った赤いコートを持って後を追った。 真っ先に行ったのは、身を投げようとした橋だった。 しかしそこに彼女の姿は無く、下を覗き込んでも何も見えなかった。
コートから一冊の本が出てきた。 そしてその本は彼の行きつけの本屋で買った本だった。 すぐさま、その本屋に行き、彼はこの本を買った人を確認すると、 店主が買って行ったと言う女性は間違いなくさっきの女性だった。
そして本にあるものが挟まっていた。 それはリスボン行の切符だった。 そして15分後に発車する列車だ。 すぐさま彼はベルン駅に向かい、彼女が現れるかもしれないと思い待つのだが、彼女は現れなかった。
そして彼は、その夜行列車に乗り込むのだった。 そして列車の中でその本を読みふけるのだ。 その本の著者はアマデウ・デ・プラド(ジャック・ヒューストン)で、彼の思いをつづった本だったのだ。
ライムントの人生が急転していく…
これはおもしろかったですね。 赤いコートの女、そのコートから出てきた1冊の本、そしてそこに挟まっていた切符、もう一連の事象が、彼をリスボンに引き寄せているとしか思えない展開でした。
そして彼はその夜行列車に飛び乗るところまでを記事にしました。
もう、完全に次がどういう展開になってくるのかわかりません、そして彼はまずこの著者について調べ始めるんですね。
ここまでは主人公ライムント役のジェレミー・アイアンズと、赤いコートの女くらいしか出てきません。 あと校長くらいですね。
でもそのあとに、シャーロット・ランプリング 、ブルーノ・ガンツ 、トム・コートネイ、クリストファー・リーというベテラン俳優陣が登場、そして過去の映像には、メラニー・ロラン、 ジャック・ヒューストン、アウグスト・ディールが登場します。
この作品の素晴らしいところは、過去を探っていくシーンの挿入が小気味いいんですよね。 現在生きている老いた人たちと、過去の若い姿の対比もうまいんですが、挿入の仕方が絶妙なんです。 だからぐいぐい引き込まれていくんですね。
ただの過去をたどっていく物語だけでなく、また一人魅力的なマリアナ役でマルティナ・ゲデックが登場します。
たった一人でリスボンに来てしまったライムントを、なぜか助けてくれて…というなかなかいい役どころの存在でした。
またラストの終わり方も絶妙でした。 こういう余韻を残した綺麗な終わり方は、なかなか邦画で見れませんよね(^^)
またまたギンレイのナイスチョイスの作品でした(G)