綺麗な海岸の広がっている崖っぷちに、佇む一人の女。 彼女は履き物を脱ぎ、どうやらそこから飛び降りようとしていた。 そのとき一人の男が声をかけてきた。「そこから飛び込むのは止めてくれませんか?」 そこで死なれると変な噂が後から立ってしまうというからだった。 そして場所を変えて下を覗き込んだ彼女は気を失ってしまった。
目を覚ますと、彼女はリゾートホテルのようなところにいた。 目の前には、ガラの悪い一人の男、どうやら日本人のようだが、堅気には見えない。大声で現地の言葉を混ぜながら関西弁で話している。
彼女は婚活ビジネスに失敗し借金を背負った元起業家の照井祥子(尾野真千子)、ここに死にに来たのだが、来て早々にバッグを置き引きに遭って失くしてしまう。 彼女は800万の借金を抱えてここに逃げてきたのだ。 しかし800万と聞いて驚くアニキとリュウ、その日彼女は散々酔っぱらって、そこに泊まって目が覚める。
夜が明けても彼女は死にたいというが、アニキは、昨日飲んだワイン代は返してから死んでほしいという。 高いワインをラッパ飲みして潰れた祥子、そしてまずは働かせるため、彼女は兄貴の家に連れて行かれる。
そこには多くのお手伝いの女性、そして子供たちがいた。 同じような服に着替え、家の掃除を言いつけられるが、子供たちが邪魔をし、結局逃げ出してしまう祥子、しかしアニキはここで大富豪になった秘訣を教えてやると祥子に言う。 さて祥子は兄貴から何を教わるのだろうか?・・・
幸せとは何か?と感じれる作品、そして日本人が忘れてしまった何かを感じれる作品でした。
アニキの本名は最後までわかりませんし、途中までリュウも謎に包まれていますが、怪しい感じが全くしない二人です。 しかし感じることは、何かここバリに対して、彼は必死に何かを返そうとしているということでした。 それは今まで自分が受けてきたいろんなことを感謝の気持ちかもしれません。
どうして金持ちになったのか? だんだん語られていくんですが、それは彼の天性の人をほっとけない性格からでした。
そして彼が一番願っているのは子供たちの幸せです。 思い立ったように靴を大量に買い、靴を履けない貧しい子たちにプレゼントするアニキ、そしてすべてが縁で、それが元でまた縁がつながっていく。 昭和の昔は日本でもこうだったのでは? そんな懐かしい匂いをバリ島で感じる事が出来そうな気がします。
李監督は、前作の「幕末高校生」http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/11951931.htmlや、その前「体脂肪計タニタの社員食堂」http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/9470290.html とかと、正直ベタな作りの作品が多いですが、私はそこに何か懐かしい匂いや、正直な物語の誠実さを感じますね。