2014年作品、アントン・コルベイン監督、フィリップ・シーモア・ホフマン主演。
ドイツのハンブルグの海岸に、一人の男が現れた。 男の顔は髭が伸びていて、アラブ系だった。 輸出用の中古車で一晩過ごし、彼が向かったのは、同朋の家だった。 彼の名はイッサ・カルポフ(グリゴリー・ドブリギン)父はロシア人、母はチェチェン人だ。 いったいどうしてドイツに密入国をしたのだろうか?
ここハンブルグで諜報機関のテロ対策チームを指揮するバッハマン(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、ある男をターゲットとして狙っていた。ファイサル・アブドゥラ博士(ホマユン・エルシャディ)は表向きは、裕福な学者だが、テロ組織に資金を送っていると目されていた。 しかし決定的な証拠がない。 彼はチームを率いチャンスを狙っていた。
その男とはイギリス人の銀行家ブルー(ウィレム・デフォー)だった。 そして彼女は、ブルーにアポイントを取り、会いに行くのだった。 しかしただ会っても疑われるだけ、そして彼はある手紙を出してきた。これがあれば、話を聞いてくれ、頼みを聞いてくれるはずというのだ。
バッハマンは、イッサの密入国の情報はとっくに掴んでいた。 彼のやり方は、いきなり逮捕するのではなく、慎重に事態を見極め、使えることは積極的に利用し、決して強引なこと、殺伐としたことはしない、ここはドイツなので、法にのっとったやり方をするというのだ。
しかし、ドイツの諜報機関やCIAは別の考え方をしていた。 特にドイツ諜報機関は、高圧的な態度を取り、イッサを逮捕し、拘束することを強要する。しかし、バッハマンは全く違うことを考えていた。それは、イッサがブルーにお願いすること、そしてそれがカギを握っていると思っているのだから。そして、イッサをアブドゥラに会せようと画策するのだった…
フィリップ・シーモア・ホフマンの主演する最後の作品となってしまったこの映画、エンドクレジットに追悼の言葉が出ていました。 なんとも、惜しい俳優さんでした。 だって私より年下なんですからね…
でも卓越した演技力で、もっと年配役もできましたし、悪役も、主役も、またチョイ役でも存在感抜群でした。
今回の役はテロ対策チームの指揮官なんですが、ちょっとした過去を引きずっている男でした。 そしてその失敗した過去の背景がわかるシーンもあるんですね。
あくまでも自分の筋書きのシナリオを書き無理をすることなくこなしていく、着々と大きな目的に向かって積み上げていく手法は、地味ですが見応えがありました。
派手さはないので、アクションとかは期待しない方がいいですが、彼の演技、そしてちょっとした仕草などが見れる最後の作品ですからこれはそれだけでもお勧めですね。
若い女弁護士役でレイチェル・マクアダムスが出ていますが、先日観た「アバウト・タイム ~愛おしい時間について~ 」http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/12261293.html の役とはうって変わったシリアスな姿もまたよかったですね。 ホフマンとの閉鎖空間でのやり取りも面白かった。