anttiorbの映画、映像の世界

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白いリボン

2009年作品、ミヒャエル・ハネケ監督、クリスチャン・フリーデル、レオニー・ベネシュ出演。
 
すべての始まりはドクターの事故からだった。 1913年7月、北ドイツの小さな村。 ドクター(ライナー・ボック)が男爵の領地での調教を終え患者を待たせてはいけないと思い、馬を走らせ自宅に戻る途中の出来事だった。 庭に入ろうとした時、木と木の間に張られた針金に馬の足が引っ掛かり、ドクターは大けがをした。
ドクターに駆け寄ったのは娘だった。 娘が隣人に伝え、隣人はすぐさま連絡を入れ、30㎞離れた町の病院に運ばれた。 隣人は独身の村の助産婦・ワグナー(ズザンネ・ロータ)、ドクターの家の家政婦として働いていた。 ドクターの家にはなくてはならない存在だった。  
助産婦の息子は体が弱く知恵遅れだった。 子供たちは、何故か村の入り口に歩いて行った。 ドクターの子・アンナは父の怪我を悲しんでいた。 牧師(ブルクハルト・クラウスナー)の娘と弟マルティンは帰りが遅くなり、牧師は怒り、今日の食事はしないと皆に言う。 そして鞭で10回打つと言う。 
打つ方の心の痛みの方が大きいのだと牧師は行って二人を部屋に返す。 そして打たれた後、白いリボンを結び、心が純粋になるまで外してはいけないと言う。 
白いリボンの儀式”である。 
次の日警察が来て調べ始めたが、肝心の針金が消えていた。 いったい誰が取り払ったのか? 針金を張った犯人は誰なのか? しかし様々な事件がこれから起こっていくのであった…
 
この後、小作人の妻が事故死したり、放火事件が起きたり、様々な出来事がこの村を暗くしていく中、ナレーションの教師(クリスティアン・フリーデル)は必死に子供たちを見守ろうとします。 しかし排他的な村人や、何か隠している子供たちは、心底教師に心を許しません。 その中、教師は男爵家の乳母エヴァ(レオニー・ベネシュ)と心を通わせるようになります。 
1917年は第一次世界大戦の真っただ中、ヨーロッパが長く暗い時で、そんな世界情勢が色濃く描かれている感じがします。 一つ一つの事件は良くある話かもしれませんが、それがかかわりあって何か得体のしれない闇をだんだん形成していくのは、観ていて何か心に靄がかかっていくような感覚に陥りますね。 
本来純真なはずの子供たちが、何か一番近寄りがたい存在に見えてくるのが重いですね。 しかし、大人側の生き方をしっかり見ている子供たちは、決して大人たちに心を開かない気持ちはわかるような気がしました。 
暗い世情に影響されてか、ドロドロとした大人社会への反発のような感じで、物語は進行していきますが、唯一教師と乳母の恋愛のところだけがぽっかり温かみを持っています。 推理物ではなく、事件物でもありませんが、ハネケならではの世情を描いた独特なタッチの作品でした。


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事件が次々と起こっていく

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白いリボンをつけ食事が抜かれる

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世界の事情も変わっていく

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この二人だけは、必死に愛を育んでいるのだが…

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